ー36協定とは?
労働基準法では「法定労働時間=1日8時間以内、週40時間以内」が原則とされています。医療など、複数の職種の現場ではこれはほぼ不可能なため、規制を緩和する目的で労働基準法36条1に準拠する通称「36(サブロク)協定」と呼ばれる労使協定が存在します。2018年の労働基準法改正により、36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられましたが、「特別条項付き」として時間を延長する仕組みにより、時間外労働の適正化が不十分になる場合もあります。
ー時間外労働の上限規制とは?
2024年4月から医師にも適用され、勤務医の時間外労働時間は「原則、年間960時間まで」となっています。このため、各医療機関における医師の労働時間短縮計画の遂行が求められています。ただし、救急医療、地域医療支援や教育・研究、自己研鑽などについては例外規定が設けられるとされています (2021年5月時点の情報) 。
ー過労死ラインとは?
病気や死亡、自殺が労働に起因するものだと認定する時間外労働時間の基準です。法律上は、「発症前1ヶ月間に100時間」あるいは「発症前2-6ヶ月間平均で80時間」を超える時間外労働の場合、業務と発症との関係性を認定できるとされています。
―医師の応召義務とは?
応召義務とは、医師法19条に定められた「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とする条文のことを指します。「正当な事由」については、1955年の厚生省通知「医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」により、よほどのことがない限りは拒否不可能と解釈されていましたが、近年、医療崩壊が問題視され、時間外労働との調整が必要とされています。